お客様にも、劇場にお通いになる一生分のエネルギーがこの芝居から降り注ぎますように。
(「こまつ座通信」一九九二年九月/『日本人のへそ』)
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CDアルバム『YMO GO HOME!』細野晴臣
10.以心電信/YOU’VE GOT TO HELP YOURSELF
これはNHKの企画で、コミュニケーション年のキャンペーン・ソングです。でも、この曲はNHKには嫌われたんですね。詩がわからないと言われたんです。自分自身を助けようということが伝わらなかった。実はこの「自助」っていう言葉は、当時アメリカでやっと芽生えたばかりの思想でね。幼児虐待とか、そういう社会現象の中から出てきた考え方なんですけど、子供たちに自分を助ける術を教育しなくちゃいけないというのがあったんですね。僕はコミュニケーション年なら、テーマはそれだろうと思って、人を助けないで自分を助けろということを言いたかったんですけど、それに日本の大人たちは誰も興味をもってくれなかったんです。
『透明通信』鈴木翁二
これがその夜、ときおり聞こえてくる自動車の排気音と一緒に、著者が歩いた、煙草の燃えつきるまでの距離だったと思います。
両の手の掌を擦り合わせるようにして、閉じた『地上』を想い描いてください。
半分は昼間です。1992 夏 著者
『演劇ってなんだろう』井上ひさし
わたしたちはあらゆるものから自由でありたいとねがっています。いま生物学の最前線で流行している述語を借りていえば、わたしたちは精一杯「ゆらぎ」たいとねがっています。ところがどなたもごぞんじのように、このねがいはほとんどかなえられることはありません。それほどまではげしく自由でありたいとねがっているのに、わたしたちは四方八方から束縛されて生きてゆかなければならないのです。そこでわたしたちは、なんとかして「ゆらぎ」の余地をのこしながら、同時に必要な束縛は受け入れて生きようと思います。このことに成功すれば、束縛は協調という言葉にかわるでしょう。つまりより良く生きるということは、束縛を協調の線に押しとどめておいて、そのうえ各人がそれぞれの個性を生かしながら充分にゆらいでみせることだ、といっていいでしょう。
(数行略)
右の事情は芝居にもそっくりあてはまります。役者たちもまた作者や演出家や作曲家や装置家や振付師や照明家や衣装担当者から十重二十重に束縛されています。彼等は果してそれらの束縛と協調して、自分の個性を、持ち味をゆらゆらとゆらがせることができるでしょうか。(「the座」3号 一九八五年一月/『日本人のへそ』)
『四月怪談』大島弓子
あなたの
生きかえらない
心に泣いて
いるんですとりえって
なんですか?
とりえって
すなわち
あなた自身では
ありませんかとべないことも
不可能のことも
冴えないことも
みんな
とりえなんじゃ
ありませんか
うっうっ
『四月怪談』大島弓子
なにを見ても
なにをしても
奇妙に新鮮に
感じるし見なれた
街なみを見ても
うれしいコップを
もちあげて
水をのんでも
うれしいときには
右足の次に左足を
だして こうごに
うごかして「歩く」と
いう動作にも
感動してるインベーダー
ゲームできること運動のあとの
疲労感たべたときの
おいしさ見てよ
はっぱが濃くなって
だんだん夏がくる夏がきたら
海にもいこう
むぎわらかむって
森にいこう草をふむ
音がするだろう